2020東京オリンピック返上!一年前反五輪国際イベント報告
「祝賀資本主義とオリンピック——ジュールズ・ボイコフ講演記録」
判型:B5判・60ページ
頒価:500円
編集・発行:「オリンピック災害」おことわり連絡会、2020年7月24日
連絡先:info@2020okotowa.link
コロナ禍のよって一年延期が決定された東京オリンピックだが、来年開催できるかどうか非常に怪しい情勢になっている。と言うよりも、そもそも今年1月末から2月初めにかけて、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが明らかになった時点で、開催中止を決定するべきであった。「完全な形での開催」の固執し続けた日本政府、日本オリンピック委員会(JOC)、東京都による、感染拡大の隠蔽、過小に見せかける情報操作等により、感染対策が遅らされ被害が拡大したことは明かであった。
この期に及んで、まだ、来年の開催をあきらめていないのは、オリンピック開催が、それにかかわる組織(JOCや東京都)や企業(ゼネコンや電通、デベロッパー等)、スポーツ関連諸団体にとって、いかに「おいしい」ものであるかを証明している。その一方で、さまざまな「災害」をまき散らしていることも。
ここで紹介するパンフは、昨年の7月、東京オリンピック開催1年前の企画として、「オリンピック災害」おことわり連絡会(おことわリンク)が反五輪の会などと協力して取り組んだ「反五輪国際イベント」(7月20日~27日)の一環として行われた、シンポジウム「祝賀資本主義とオリンピック」(7月21日、於・早稲田大学、主催:FO研究会)におけるジュールズ・ボイコフ(Jules Boykoff)さんの講演記録を中心に構成されている。
ボイコフさんは、1970年生まれで、パシフィック大学政治学教授。元プロサッカー選手でもあり、バルセロナ五輪の米国代表メンバーとしてブラジル戦やソ連戦などの国際試合に出場した経験をもつ。著書『オリンピック秘史:120年の覇権と利権』(早川書房)などでオリンピック批判を精力的に展開している。
今回の講演では、オリンピックの歴史を振り返り、「祝賀資本主義」という視点からオリンピックの招致・開催を丁寧にわかりやすく批判している。オリンピックの問題点の本質を短時間で理解するにはもってこいの内容である。
本パンフには、他に、同シンポジウムにおける、いちむらみさこさんの「Tokyo Olympic 2020」と題する、新国立競技場建設などで再開発が展開された明治公園等での野宿者追い出し(五輪災害の最たるもの)の実態についての報告、25日に上智大学でセミクローズドで行われた「Teach-in for Tokyo Olympics researchers and journalists」における井谷聡子さん(関西大学)の報告「フェミニスト視点によるオリンピック批判について」、また、「おことわリンク一年前企画フォトレポート」も収録されている(ボイコフさんと井谷さんの講演は英文も収録)。ぜひご購読ください。
なお、おことわリンクでは、本来予定されていた開会式の前日(7月23日)に「中止一択!東京五輪」と題した集会を開催した。集会には、ボイコフさんがビデオ・メッセージを寄せてくれている。集会記録(動画)はおことわリンクのWEBサイトにアップされているので、こちらもぜひご覧下さい。
(梶野/「オリンピック災害」おことわり連絡会)