月別アーカイブ: 2020年5月

(フランスから署名要請)これまで以上にオリンピックに反対だ!

パリでオリンピック反対運動を行う仲間、NON aux JO 2024 à Parisがパリ五輪反対署名を開始しました!反五輪の会も賛同団体の1つになっています。

署名はパリの住民に限らず世界中から幅広く募るそうなので、ご署名、拡散、どうぞよろしくお願いします。

署名サイト(フランス語)

https://nonauxjo.org/petition/org/non-aux-jo/plus-que-jamais-non-aux-jo

署名方法。署名の趣旨(下記の日本語訳を参照してください)を確認して、サイト右覧のfirst name、last name、メールアドレスを記入し、今後の情報が欲しい場合は、「Je veux recevoir des informations de la part de l’Association Non aux JO 2024 à Paris:」の脇にあるチェックボックスにチェックを入れ、「SIGNER」をクリックしてください。 すこし待つと、ここで入力したメールアドレスに「Confirm your signature to our petition」というタイトルのメールが屆きます。このメールの本文にあるリンクをクリックします。これで署名が終了します。また、上記のチェックボックスにチェックを入れた場合は、同時に「Invitation to join list nonjoparis2024-info」が屆きます。日本語訳は反五輪の会のサイトから転載しました。

〈日本語訳〉

これまで以上にオリンピックに反対だ!

「かつての世界」の過ちを継続しながら、「これからの世界」に入るふりをすることなどできない。

私たちは2024年パリ五輪を中止しなくてはならない。

インフラ工事の遅れと新たな安全基準は、過去数十年の間に幾多の開催国を荒廃させてきたイベントの費用をさらに膨張させることになる。

当初70億ユーロ(8200億円)と見積もられた予算が守られることはないだろう。

さらに、仮に東京五輪が中止ということになれば、そのパリ五輪への財政的影響は甚大なものとなる。

私たちは健康、教育、住居、公共サービスに投資を行うべきだ。現在の経済・社会危機を鑑みれば、オリンピックなんぞに出費している場合でないことは明らかである。

制御不能なグローバリゼーションの象徴たるオリンピックは、環境そして種々の遺産にとっての脅威である。そして何よりも、少数の人々(スポンサー企業、不動産デベロッパー、ゼネコン…)の利益のための、これ以上続けることのできないとんでもない浪費である。

あらゆる分野からの賛同団体とともに私たちは、政府に五輪の中止を求める。

avec :

オリンピックがあることが「ノーマル」である社会に戻らない日を目指して

4月24日、緊急事態宣言下の東京駅前で 行った月例スタンディングは、 関西大学の井谷聡子さんから電話でアピールを いただきました。

月例のスタンディング、工夫しながら継続しています。 5月24日はいつもより早く午後5時から6時まで、東京駅丸の内口前です。

今月は名古屋から岡崎勝さんと1998年長野冬季五輪に反対された江沢正雄さんからアピール、その他オープンマイクでやります。 以下、井谷さんの発言です。(表題は編集部の判断によるものです)


関西大学の井谷です。声聞こえてますでしょうか?(聞こえてまーす:東京駅)こんにちは。

今日は大変な状況の中、みなさん反対する声をあげ続けるということで、いろいろ怖い部分もあると思うんですけれども、東京のど真ん中で、こうやって黙らされない、黙っていないぞ、という態度を示していただいているのは本当にありがたいと思います。と同時にみなさん、ホントに気をつけて活動なさってください、というのが、まず一つ目に言っておきたいと思ったことでした。

それから、すでにたくさんのいろんなことが言われていたり書かれていて、私が言えるのは何なんだろうと思うと、ホントに限られているんですけど、あらためて、もしかしたらもう繰り返し言われていることかもしれないけど、わたしがいま一番強く感じていることを今日話しておきたいと思いました。

◎学生には借金を、五輪には大金を

まず今週から私がいる関西大学でもオンラインの授業が始まりました。就職活動がすでに始まっていて、足元をすくわれる形になってしまった四年生たちにオンラインで話を聞いてみると、「ホントに大変だ」と。どんどんどんどん就職活動の先も見えないし、残りの授業も不安です。一年生のなかには、これからの4年間の授業費の足しに、あるいは教科書を買うためにやろうと思っていたバイトができないと真剣に心配している学生もいます。調査によっては大学生の13人に1人が、退学を検討しているというデータが出ていて、本当に恐ろしい時だと思いました。

そういう大学の現場にいて、若い人たちの将来に活かせるはずの費用について考えた時、オリンピックにかかる費用というものがどれほど大きいものなのか、と思います。これまでも、日本は病院とか医療に対する費用が削られてきました。これはもう完全にネオリベ政策の被害ですね。そして学生たちに対しては、奨学金といいながら、勉強するためのローンを学生に押し付けてきた国が、オリンピックのために莫大なお金をかけてきたということの弊害が、この一か月くらいで改めてはっきりしてきました。このことは頭のどこかで知ってはいましたが、こうやって目の前で学生たちの未来が崩壊していくかもしれないというときに、本当に改めて問題が大きいと感じています。

もうこの怒りはみなさんと共有していると思いますし、どういう言葉で話せばこの状況をつかみきれるのか、わたしはなかなか言葉をうまく見つけられない人なので、言葉を扱う職業にいる人間としては非常に苦しいところなのですが、人の言葉を借りながら、残りの部分にみなさんと共有したいことがあります。

◎資本主義とウイルスの拡散

アルンダティ・ロイというインドの作家、批評家、活動家の女性がいるんですが、ものすごく美しい文章を書く人で、このコロナの状況についてもいろんなことを発言をされています。以下はロイが指摘していることです。

最初に新型コロナウイルスが発生して、どんどん世界に広がっていった、そのなかで最初に打撃を受けていったのは資本主義社会でした。ウイルスは中国からその周辺の朝鮮半島、日本へ、反対側のヨーロッパにも広がり、アメリカから一周して、いまアフリカのほうが大変な状況になっています。このウイルスが増殖するために有利な条件、つまり人が集まり、早く移動し、物も人も動き続けて、接触も多い、そういう消費社会の中心になるシステム、貪欲な資本主義が生み出したグローバル資本主義社会をまさに有利な条件としてウイルスは拡大していっています。

◎無為無策の戦争屋たち

もちろんウイルスというのは資本主義やそれを構成する人間とは違って、明確な金儲けの目的などなく、ただ増殖することを目的として存在していますので、高度な医療技術とか科学技術とか、監視技術を持つ国でも、あっというまにコロナにやられてしまいました。さらに「コロナとの闘いは戦争だ」と例える政治家もいますが、これもアルンダティ・ロイが指摘していますが、戦争に一番強いアメリカが一番負けている。なぜか。

人間の存在が危機に直面するときは、資本主義のロジックとか武力とか科学技術とかの強者の理屈だけで戦おうとしても戦えない、それでは命は救えないということを、この新型コロナウイルスが改めて示してくれたと思います。だから資本主義のロジックでしか生きてこなかった世界は、その対処に戸惑って動揺しています。さらに命の切り捨てまで行っています。日本の安倍首相とかトランプ大統領の動揺ぶり、無能っぷりが、よくさらけ出されていますし、彼らが資本のロジック以外で動くことができないというのをよく見せてもらったとおもいます。

◎「五輪のある日常」に戻っていいのか

ロイが言っているのは、資本主義のエンジンである経済活動が破壊され、もくもくと煙が上がっているとき、経済界や政治家は必至でそれを治して、おんなじエンジンをふかして世界の破滅へと突き進もうとしている。ロイが問うのは、同じエンジンを修理したいのか、それともこれまでと違うエンジンをみんなで求めていくのかということです。今まさにことなる世界のために戦うとき、そういう分岐の時だと彼女は指摘します。私もそう思います。

まったく同じことがオリンピックにも言えると思います。産業社会、資本主義社会、帝国主義社会のなかで生み出され、その体現として広がり、グローバル化して、ものすごいお金を食いながら、ものすごい人を動かしながら、増殖してきたオリンピックですけども、これまで福祉に使えるはずだったお金、人々の幸せのために使えるはずだったお金を、毎回毎回、何千億円、何兆円という規模で浪費してきたこの「オリンピックがあるいつもの日常」が、本当にそれが戻ってきてほしいのかということなのです。いま私たちが戻ろうとしている「ノーマル」というのは何なのかを問いたいと思います。

そしてオリンピックが来るからいつもの日常や平和な暮らしが破壊されてきた人たちがいることを思い出してほしいと思います。コロナが来た、たいへんだ、生活が破壊された、ノーマルな生活に戻りたい、と言います。いやでも待ってください。オリンピックが来たことで、ノーマルな生活を破壊された人たちがいましたよね。そしてそれに対しておかしいという声をずっと声を挙げてきた人がいましたよね。今だったら、少しでもその声に耳を傾ける人が増えているのではないか、と私は期待したいと思います。

◎アンダーコントロール、再び

そして最後ですけれども、一年後に延期をされて、もうすでに森元首相なんかが、コロナから復活した世界を、コロナの収束をアピールする機会としてオリンピックが使えると言ってますよね。本当に恐ろしいことだと思います。これほどのパンデミックが一年で終わるはずがない。それは専門家でなくても、みんな肌で感じているのではないかと思います。

でもなぜそんなことを言うのか。今までのノーマルを続けたい経済界の人々が、感染の収束が終わらないことを恐れているからです。これはまったく福島のケースと同じだと思います。「アンダーコントロール」と言うことで、日本はノーマルに戻ったと、いつもどおりビジネスができる、さあみなさん来て消費して、お金を落としていってね、そのメッセージをもう一回オリンピックでやろうとしていませんか。

一年後に、さあ日本はもう収束したぞと、検査も十分にしていないのに宣言を出して、さあ世界はもう元に戻った、よし消費しよう、旅をしよう、どんどん二酸化炭素を出そう、これでいけますよという、そういうサイン、go back to normal , business open to the world again 、そういうメッセージに、このオリンピックがされてしまいそう、そしてそれをしようとするでしょう、この国もIOCも。

◎倫理観の欠如した五輪エンジン

でも、でもです。一年延期されたということは、直前に迫ってきたオリンピックと戦うチャンスも増えたということですよね。そしてオリンピックのある「ノーマル」な世界が、いかに人々にとってむごい世界だったのかということも、日本の中を見ているだけでも改めて感じる人が出てきたと感じています。

最近の研究では、今年から来年にかけて、世界だけでなく、医療体制が脆弱なアフリカ大陸で1000万人の感染者を出す可能性があるといわれています。アフリカには人工呼吸器が一台もない国もあります。国によっては人工呼吸器よりも副大統領の数のほうが多いという冗談のようで冗談でないことが言われてしまう。そういうところに今ウイルスが手を伸ばしているときに、一年後に「さあスポーツの祭りをやりましょう」と言う。倫理観の欠如です。そういうことに対して、オリンピックを動かしている人たち、そしてそのエンジンというのがものすごく恐ろしいものなんだということを、改めてみなさんに心に刻んでほしいと思います。

◎オリンピックの廃止へ

オリンピックを延期ではなく中止へ、中止ではなくIOCの解体へ。それに向けて闘う時間がまた一年与えられたと思います。

そこにいるみなさんも、また一年闘うのも大変なんですけどども、闘うチャンスをもらえたと思って、オリンピックがあることが「ノーマル」である社会に戻らない日を目指して私も一緒に頑張っていきたいと思います。

オリンピックにかける費用を日本国内だけでなく、いちばん苦しい人々に送りましょう。そしてオリンピックのない世界を目指していきましょう。

ありがとうございました。

万国の五輪労働者よ、団結せよ!

Covid-19の時代に、世界中の五輪アスリートたちが、五輪ケーキの分け前をもっとよこせ!と声を上げ立ち上がっている。

人生は短い。アスリートのキャリアはさらに短い。これが、大勢のアスリートが不正に直面しても沈黙を守ることを選ぶ理由の説明でもある。が、今、われわれは、多数のアスリートたちが次々と自ら声を上げるのを目にしている。

そんな例がたくさんあり、今オリンピアンたちは集まって、こう言っているのだ。IOCが、そのはち切れんばかりの金庫を開けて、分捕った物を、五輪を五輪たらしめているアスリート労働者たちと分かち合うべき時が来た、と。東京オリンピックを今夏開催するという考えにアスリートたちが公然と疑義を呈し始めた時、すでに彼らの持てる力の一端は見えていた。彼らが声をあげなかったら、まず間違いなく、五輪の延期はあのときには決まらなかった。

IOCが選手に提供している取り分はNBA、NFL、NHL、MLB、イギリスのプレミアリーグといった大きなスポーツリーグに比して極端に少ないという、最近発表されたオリンピック財政についての研究を受けて、アスリートの怒りが爆発した。 NBAなどがリーグ収益の40〜60%を選手に配分しているのに対し、IOCはたった4.1%をしぶしぶ出しているだけなのだ。

この、グローバル・アスリート提言グループとライアソン大学の共同研究の結論は「団体交渉は依然としてアスリートの生計改善のための唯一の有効な方法だ」というものだ。多くの五輪アスリートもそう考えている。2度の金メダルに輝く三段跳びの王者クリスチャン・タイラーはトロント・スター紙のインタビューの中でこう述べている。「アスリートに返ってくる分がどれほど少ないかを目にして腹が立つ。オリンピックはビジネスだ。繁盛しているビジネスだ。それでもって、われわれアスリートはその果実を味わえないというわけだ。これを見てわれわれはみな目を覚まさないと。」

(リオ五輪出場の英自転車選手)カラム・スキナーのツイート 世界の5大プロスポーツリーグは収益の40〜60%を選手に払っている。 オリンピック(年収>14億ドル)がアスリートに使うのは4.1%で、選手が独自スポンサーを得ることには時代遅れの制限を課している。オリンピックの価値を尊重しろ… (多くの選手が金銭的苦境にある中IOCが利益隠しをしているという英テレグラフ紙記事へのリンク

五輪に2回出場した中距離走のエマ・コバーンはこうツイートした。「愉快な事実:オリンピックで競技に出る選手がIOCから受け取る賞金、給料、ボーナスは零ドル(IOCは毎年140億ドルの収益を上げているというのに)。もう一度言う、オリンピック選手がIOCから受け取るのは零ドル。」

研究グループ自身の記録によると、IOCメンバーは事務支援として年7000ドルを受け取れることになっている。IOC役員の日当は900ドルとべらぼうだ。他のIOCメンバーは、ギリシャの元国王コンスタンティノス2世、オランダのウィレム・アレクサンダー国王、サウジアラビアのナワフ・ビン・ファイサル王子といった”名誉メンバー”も、経費として一日あたり450ドルを受け取れる。

一方、多くの五輪アスリートたちは暮らしていくのにやっとだ。この研究には、最近のカナダのアスリートたちは「平均で年15000ドルの支出超過になっているが、収入の4分の1以上は雇用によるもので、スポーツで得たものでない」とある。

米国では、2016年のリオデジャネイロ五輪の前、100人を超えるアスリートが費用を工面するため(クラウドファンディングサイトの)GoFundMeにページを開設した。オリンピックで儲ける者は確かにいるが、たいていそれはアスリート以外の人だ。

近年、五輪アスリートは年に5000ドルくらいを受けとっており、それはIOCの総支出の0.5%にあたる、ということもこの研究で分かった。研究報告は「IOCが超過の収益を還付、奨学金、トレーニングといった形で選手に再分配しただけで、選手の平均年俸は現在のレベルの2倍以上の11000ドルになる」としている。

予想通り、IOCは「オリンピックで得られた総収入の90%を、アスリートの支援および世界のスポーツの発展のために再分配している」と主張して、この研究に反論した。

この主張はひどく誤解を招くものだ。まず初めに、国際スポーツ連盟、各国のオリンピック委員会、その他の組織ーそれらの多くは必ずしも倫理的に模範たりうるところとして知られているわけではないーを通じてマネーロンダリングがされており、選手の懐に届く前にそうした組織が自分たちの分け前を各々取っている。

さらに、(オリンピック情報サイトの)インサイド・ザ・ゲイムズに掲載されたディヴィッド・オーウェンによる2013年から16年までの期間についての分析から、IOCがうるさく訴える90%という再分配率の数字には疑わしいところがあるとわかる。オーウェンはカテゴリー分けについていくつかおもしろいことを暴いている。オリンピックの”文化と遺産”に使われた金額は運営管理費として計上されるのではなく、あたかも選手へのなんらかの給付であるかのように”オリンピック運動の振興”に分類されている。 オリンピックチャンネルとキャンセル保険の経費はなぜか、”アスリートの支援および世界のスポーツの発展のため”のIOCの再分配に計上されている。

IOCの財務関係の数字は基本的な透明性を欠いているため、オーウェンは日間にも脚注の奥底まで深く潜って調べなくてはならなかった。結論はこうだ。

『ときには解釈の問題であるということは承知のうえで、情を交えず分析しようとする者には、再分配率90%という数字を正当化するのは非常に困難だと認めざるを得ない。OBS[オリンピック放送サービス]、オリンピックチャンネル、そして”文化と遺産”を含めて計算する心構えができていたとしても、だ。』

偉大なスポーツ記者ウィリアム・ローデンは最近こう言っているが全く正しい。「IOCはおそらく地球上で最も汚職がひどい組織のひとつだ。」汚職はあからさまな賄賂のかたちをとることもあるが、ひっそりと、合法化された汚職といった形で行われることもまたある。アスリートたちは五輪を五輪たらしめる労働を提供していながら、いつもいつも、五輪パイのちっぽけな一切れしか与えられない、というように。

ありがたいことに、五輪アスリートたちは政治的な会話に割って入った。再びアスリートたちが前に出ている。グローバル・アスリートとライアソン大学によるこの重要な報告は、オリンピックが、一方には世界のトップアスリートたち、他方には特権的な立ち位置から計算づくの搾取を押し付けているスポーツ貴族ども、という2分割のスクリーンのうえで繰り広げられているということを明らかにした。

五輪アスリートたちが団体交渉で多くを得られる、というのは本当だ。アスリート労働者たちが団結して力を強めれば平等へと大きく前進することができるだろう。

Dave ZirinはThe Nationのスポーツエディター。

Jules Boykoffは、オレゴンのパシフィック大学、政治学教授。オリンピックに関する4冊の本を執筆。最新の著作はNOlympians: Inside the Fight Against Capitalist Mega-Sports in Los Angeles, Tokyo.

原文 https://www.thenation.com/article/society/ioc-finances-study/