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【声明】東京オリンピック・パラリンピック延期に反対し、中止/廃止を求める声明
3月24日、東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が決められた。新型コロナウイルス感染が加速しつつある状況の中で、7月24日にオリンピックの開幕を迎えることなど無理であることは誰の目にも明らかだった。しかし安倍政権やJOCなどは、ぎりぎりまで「完全な形での開催」にこだわった。そのことが新型コロナウイルス感染を拡大させる結果につながったことは間違いない。政府は必要な検査体制を取ることに一貫して消極的であり、感染者をいたずらに増加させたが、それもオリンピックをなんとか開催するためだったのだ。
実際、新型コロナウイルスの感染者数は、延期決定後に激増しているではないか。まさしく「オリンピック災害」そのものといわなければならない。そして4月7日には、安倍政権はコロナ特措法に基づく「緊急事態宣言」を発令した。検査体制や医療体制の充実など、いま最も必要な措置を取るよりも、人びとの行動を制限することによって「事態の収束」を図ろうという思考に貫かれた「緊急事態宣言」のもとで、私たちの基本的人権が大幅に制限されていく。日本の緊急事態宣言は諸外国に比べて生ぬるいとして、さらなる立法化などを通して外出禁止の強化を迫る声を背景に、安倍政権は基本的人権の大幅な規制を行おうとし、さらには改憲へのはずみにさえしようとしている。選択肢は「命か人権か」ではない。「命も人権も」でなければならない。緊急事態宣言発令を、私たちは決して許さない。
そしてなにより、3月24日に発表されたのは、オリンピック・パラリンピックの「延期」であって中止ではない。安倍政権は1年後のオリンピックを、人類がコロナウイルスに打ち勝った「コロナ復興五輪」として演出しようとしている。ふざけるな!
東京オリンピック・パラリンピックは、延期ではなく中止されなければならない。これまでにも3兆円を超える経費がつぎこまれ、延期によって数千億円規模の経費増が見込まれるという。延期ではなく中止の方が経済的損失は大きいという試算もあるが、オリンピック開催による「経済効果」や「レガシー効果」などという、きわめて怪しげな「根拠」がそこでは挙げられている。仮にそうであったとしても、オリンピック中止にかかる損失は、これまでオリンピックの準備を通じて、行政の協力も得た脱法的な手段も使いつつ、社会的・公共的な資産を山分けにし、莫大な儲けを手にしてきた大手ゼネコンやデベロッパー、情報・宣伝産業、オリンピックによって利益を得る利権団体すべての責任で補填すべきだ。コロナ状況によって営業停止や活動休止に追い込まれ、困窮している中小企業や個人事業主、この社会で生きる全ての人びとに対する経済的救済と、コロナ検査体制・医療体制の圧倒的な拡充に、オリンピック資金のすべてを振り替えよ。無用なカネをこれ以上オリンピックにつぎこむな。まさに「オリンピックをやっている場合ではない」。はじめからそうであったし、いまもそうである。
3月28日、私たちは郡山市で「聖火リレーと五輪災害」トークリレー集会を開催した。3月26日にJビレッジから始まる聖火リレーは中止となったが、復興とはほど遠い福島の状況を、あたかも復興したかのように演出する「復興五輪」の欺瞞を、私たちは福島の方々の怒りとの出会いのなかで、あらためて再認識させられた。
コロナ状況の打開に終わりが見えない「いま」だからこそ、オリンピック・パラリンピックの中止がいますぐ決定されなければならない。「復興五輪」は「コロナからの復興」を含めたものに読み替えられ、資本と利権集団の「災害便乗型」の祝祭として、「国民」を動員していくナショナルイベントとして再組織されようとしている。いまこそオリンピックに終止符を打とう。東京だけでなく、あらゆる地域で行われようとしている近代オリンピックそのものを廃止しよう。このことを私たちは、内外のすべての仲間に向けて呼びかける。
2020年4月15日
2020「オリンピック災害」おことわり連絡会