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東京はいかにして2020年オリンピックを手中に収めたか

ヤン・フィリパン、アンティオヌ・ルジェ

「メディアパルト」、2020年1月12日

 フランス司法警察によって得られた資料は、国際陸上競技連盟元会長ラミーヌ・ディアク氏が、東京がオリンピック開催の座を射止めるために、2013年に国際オリンピック委員会に所属するアフリカ諸国の委員の投票の足並みを揃えさせたこと、他方で、彼の息子と関連のあるオフショア会社が、日本オリンピック招致委員会から230万ドルを受け取ったことを明かしている。

これは今や習慣である。リオ五輪の後の2020年大会は、来る7月24日東京で、汚職のしるしのもとで開会式を迎えることになる。2013年、国際オリンピック委員会(IOC)の投票の際の開催権付与は、フランス財務検事局(PNF)によって開示された膨大な刑事情報の対象となっている。

2018年12月、予審判事のルノー・ヴァン・リュインベク氏(のちにベネディクト・ド・ペルトゥイ氏が後任となる)とステファニー・タショー氏は「積極的買収」〔買収する側が主導権をとる買収:訳者注〕のかどで、2020年東京オリンピック招致委員会の元会長、日本列島で最も権力のあるスポーツ関係の高官の一人、竹田恆和氏の調査を開始した。三ヶ月後、彼は日本オリンピック委員会委員長および国際オリンピック委員会委員の役職を辞任することを余儀なくされた。

われわれが入手した情報によると、予審判事らは2019年3月、「受動的買収」〔買収される側が主導権をとる買収〕のかどで国際陸上競技連盟元会長ラミーヌ・ディアク氏の調査を開始したが、問題となっている複数の選挙における開催権付与のなかには2020年東京オリンピックが含まれている。

メディアパルト[この記事を掲載したフランスのインターネットメディア]は司法調査をもとにした未公開の資料群を参照することができたが、それらは、彼の息子パパ・マサタ・ディアク氏、通称PMDが受け取ったと推定される賄賂の見返りとして、ラミーヌ・ディアク氏が東京に有利になるように、議論で決定的な役割を果たしていたらしいことを明かしている。

パパ・マサタ・ディアク氏の側近の一人によって日本オリンピック招致委員会のために書かれた秘密裏の報告書は、IAAF〔国際陸上競技連盟:訳者注〕の会長が、国際オリンピック委員会のアフリカ諸国の委員たちが東京を支持するよう彼らの投票の「足並みを揃えさせた」ことを示している。2013年9月7日、投票の数時間前、PMD氏は彼の父に、アフリカ諸国の投票者たちがマドリッドに投票するのを阻止するために「休憩時間のあいだ」彼らを「閉じ込め」なくてはならないと書いている。東京の勝利の翌日、日本の広告代理会社電通の経営者は、ラミーヌ・ディアク氏に、彼が決定的な支持を与えてくれたことで賛辞を送っていた。

予審判事たちはこの努力が、投票の直前と直後に、東京オリンピック招致委員会からブラック・タイディングス社に支払われた230万ドルの見返りではないかと疑っている。司法調査によると、パパ・マサタ・ディアク氏はシンガポールに登記されているこのオフショア会社の「主要な受益者」である。

メディアパルトに尋ねられたPMD氏は、ブラック・タイディングス社とはいかなる繋がりもなく、自分はその「株主でもパートナーでもない」と主張している。会社は公式にはシンガポール人のコンサルタント、トン・ハン・タン氏に帰属している。

しかし予審判事たちは、タン氏がパパ・マサタ・ディアク氏の名義人であることを示す証拠を多数収集した。ブラック・タイディングス社の銀行口座の分析は、金銭の大部分は最終的にPMD氏の手に渡ったことを示している。二人の人物は他の複数の買収事件に関与しており、その中にはロシアによるドーピングのマネーロンダリング、2015年北京世界陸上選手権大会における開催権付与が含まれる。IAAFの一人の幹部は調査者たちに対し、タン氏はパパ・マサタ・ディアク氏の「アシスタント」だと語った。

彼らが知り合ったのは、タン氏が2015年大会の北京市招致委員会に加わっていた2009年である。IAAFの同幹部によると、PMD氏は次いでこのシンガポール人を日本の会社電通に紹介した。この巨大広告代理会社はIAAFのマーケティング権保有者だったが、マーケティングの権利をしばしばパパ・マサタ・ディアク氏に譲渡し、後者はこうして彼の父との合意のもと手数料を受け取っていた。タン氏とPMD氏はこのようにして、中国企業シノペックが締結した、2015年の北京世界陸上のスポンサー契約の交渉を一緒に行ったのだった。

だから2013年、電通はPMD氏とタン氏の特別な関係を知っていたのだ。この日本企業はまた利益相反の状況下にあった。東京招致の積極的な支持団体であると同時にIAAFと息子ディアクの特別なパートナーでもあり、父ディアクはオリンピックの開催権付与を決める投票者たちの一人だったのである。

2013年春、2020年東京オリンピック招致委員会は、トン・ハン・タン氏が代表を務めるブラック・タイディングス社から便宜提供の申し出を受ける。6月半ば、委員会会長の竹田恆和氏は電通の幹部の中村潔氏と会い、タン氏を雇用すべきかどうか尋ねている。

中村氏は彼にパパ・マサタ・ディアク氏の協力者〔タン氏:訳者注〕を熱心に推薦し、ディアク氏について「IAAFに対する影響力」を持った、「IAAFに所属するIOCのメンバーとコンタクトを取る」ことができる「非常に有能なロビイスト」であり「そのことは東京の招致活動にとって非常に有利になるでしょう」と述べている。

竹田恆和氏は説得された。彼はトン・ハン・タン氏と、ブラック・タイディングス社に230万ドルを支払うという交渉をした。最初の契約は95万ドルで7月25日に署名された。残金は東京がオリンピック招致を勝ち取ったときに限り支払われることが口頭で合意された。竹田恆和氏は日本の招致委員会の調査員たちに対し、タン氏とパパ・マサタ・ディアク氏の繋がりは全く知らなかったと明言している。

契約の署名の直後から、ディアク親子は東京の招致活動に有利になるように尽力した。作戦は2013年8月、IOCのメンバーが多数出席するモスクワ世界陸上世界選手権大会のときに始まった。8月9日、ラミーヌ・ディアク氏は竹田恆和氏をホテル・ラディソンに迎え、自分の東京支持を表明した。

招致委員会会長は、モスクワでラミーヌ・ディアク氏から彼の息子を紹介されたことを認めた。IAAF代表の手帳にはそのうえ、8月16日、パパ・マサタ・ディアク氏と中村潔氏――招致委員会にブラック・タイディングス社への協力要請を助言した電通の幹部――との会合の記載がある。

「休憩中に閉じ込めなくてはならないよ」

2013年9月2日、投票の5日前、パパ・マサタ・ディアク氏は彼の父に、日本の招致委員会から届いたばかりの報告書を添付したメールを、「昇る日〔Soleil Levant日本のこと〕」と題して送った。この資料は東京が説得したと考えている投票者の数を大陸ごとに詳述し、日本が「助力を要する」IOCの6人のメンバーをリストアップしている。

9月4日、パパ・マサタ・ディアク氏は、アルゼンチンのブエノスアイレスに飛んだ。そこでマドリッド・イスタンブール・東京のなかから開催地が決められることになっていたのだ。9月6日、投票の前日、ル・モンド紙が明かしたように、ラミーヌ・ディアク氏はアフリカ諸国の投票者たちが10人程集まる会合に出席し、彼らに自分が東京を選択していることを告げた。「一人ずつ順番にコメントしていきました。誰も反論しなかったので、私は彼らが全員東京に同意していたのだと思います」と、IAAFの会長はヴァン・リュインベク判事に表明した。

9月7日、投票の数時間前、パパ・マサタ・ディアク氏は彼の父に、IOCの最も影響力のあるメンバーの一人、クウェート人のアハマド・アル=ファハド・アル=サラーフ氏の介入を知らせるためのメールを書き送った。「アハマド師はアフリカの人々にマドリッドに投票させるため手を尽くそうとしているらしい!!! 休憩中に閉じ込めなくてはならないよ。」

東京は第一回投票で42票、第二回投票でイスタンブールの36票に対して60票と、容易く選挙に勝利した。翌日、電通の社長は早々にラミーヌ・ディアク氏に対し、この勝利で決定的だった彼の支持に謝意を表した。この賛辞のメールは示唆的である。それは電通からパパ・マサタ・ディアク氏に送られたのであり、後者は自分の父にそれを送付するとき、彼の名義人と推定され、招致委員会に雇用された会社ブラック・タイディングス社の経営者でもあるトン・ハン・タン氏にも、カーボン・コピーで送付しているのである。

東京が勝利したことで、ブラック・タイディングス社は予定されていた謝礼の残金、すなわち137万ドルの支払いの権利を得た。新しい契約が2013年10月4日、招致委員会会長の竹田恆和氏によって署名された。公式にはこの金銭は、投票結果を分析した報告書作成の見返りとされている。
「日本の調査委員会が指摘したように、実態として2度目の契約は、IOCの賛成票を得たことと関連した追加報酬を覆い隠すための隠れ蓑に他ならない」と、メディアパルトが参照した資料のなかで、予審判事たちは書いている。それは実際、日本オリンピック委員会によって委任された調査者たちに、招致委員会の専務理事補佐が表明したことだ。

2度目の契約という名目のもとブラック・タイディングス社によって作成された報告書は、それでもなお教えるところが多い。この資料は「ラミーヌ・ディアク氏がアフリカ諸国の投票の足並みを揃え東京を支持した」ことを示し、「2013年3月にはアフリカ諸国の何人かのメンバーはイスタンブールを支持していたが、彼ら全員がディアク氏の立場を見て東京に選択を移すよう促されたことまでが明示されている」と予審判事たちは書いている。

メディアパルトが接触したラミーヌ・ディアク氏、パパ・マサタ・ディアク氏、そして竹田恆和氏は、われわれに回答しなかった。電通はわれわれに、便宜の提供を申し出た「複数のコンサルタント」に関して招致委員会に意見を伝えたと述べたが、それ以上の詳細は明かさなかった。2017年、フランスの判事たちの要請に従い日本の検察官たちの事情聴取を受けた竹田恆和氏は、当時ブラック・タイディングス社の報告書は読まなかったが、それが「IOCのメンバーがどの都市の立候補を支持していたかという具体的で貴重な情報」を含んでいるという情報は得ていたと主張した。それを読んだ後、招致委員会会長はこの見解に心を固め、「招致委員会がブラック・タイディングス社と結んだ追加のコンサルタント契約は有意義なものであった」と評価する。

いずれにせよそれはパパ・マサタ・ディアク氏とトン・ハン・タン氏に大変な利益をもたらした。招致委員会から230万ドルを受け取った後、ブラック・タイディングス社は、セネガルの複数の銀行口座を通じてPMD氏に54万7千ドルを再配分した。同社はまた12万6千ユーロのポルシェを購入し、セネガルの某公証人に23万ユーロを振込み、息子ディアクが使った旅行代理店に6万5千ユーロを支払い、ドバイの某宝石店の7万2千ドルの請求書を清算した。トン・ハン・タン氏は彼の取り分としてブラック・タイディングス社に14万ドルを受け取った。

日本オリンピック委員会(JOC)が慌てて要請し、二人の弁護士と一人の会計士によって行われた2016年の調査は、ブラック・タイディングス社との契約が合法的なものであったと判断した。なぜなら招致委員会の幹部たちは、この会社がIAFF会長の息子と繋がっていたことは知らなかったと表明したからだ。従ってこれらの支払いは、場合によっては「私的買収」にのみ該当する可能性があるが、これは日本列島の法律では処罰されないのである。

日本の司法当局は同じ結論に達した。したがっていかなる捜査にも着手せず、フランスの判事たちが要請した調査も、当事者たちの任意の協力によって、強制力を用いずに行われた。

2013年9月に東京が勝利した後、招致委員会は解散した。それは普通のことだ。しかしその幹部たちは入念な後始末を行った。JOCの調査報告書によると、「必要不可欠な情報」を除き、パソコンに記録された全情報は、「紙の全資料」同様に「破棄」された。次いで、「各個人のパソコンは外部の営利業者によって破棄された」。念には念を入れるに越したことはない、というわけだ。

ブラック・ボックス

われわれは、事件の中心人物たちに詳細な質問のリストを書面で送った。

ラミーヌ・ディアク氏の弁護士ウィリアム・ブルドン氏は、彼の顧客はわれわれに回答できないだろうと表明した。なぜなら彼は月曜にパリで始まる、ロシアのドーピング事件についての訴訟準備にかかりきりになっているからだという。

ワッツ・アップ〔メッセージアプリ:訳者注〕で接触したパパ・マサタ・ディアク氏は、われわれに回答しなかった。

竹田恆和氏のフランス人弁護士ステファヌ・ボニファシ氏は、彼の顧客にわれわれの質問を伝えたと告げた。竹田氏はわれわれに回答しなかった。

日本のグループ電通はわれわれに次のような回答を送ってきた。「当時〔2013年の投票前:編集部注〕、2020年東京オリンピック招致委員会はわれわれに、委員会に便宜の提供を申し出ている複数のコンサルタントに関していくつかの質問をしてきました。われわれは当時持っていた知識をもとに、そのコンサルタントたちに関するコメントを行いました。」

2020年東京オリンピック招致委員会は解散しているので、われわれは東京オリンピック組織委員会に質問を送ったところ、彼らは以下のような回答をよこした。「組織委員会は招致委員会の活動の詳細を知るためのいかなる手段も持たず、したがっていかなるコメントもできません。」

国際オリンピック委員会(IOC)はわれわれに回答しなかった。

出典:

Mediapart, YANN PHILIPPIN ET ANTTON ROUGET “COMMENT TOKYO S’EST OFFERT LES JEUX OLYMPIQUES 2020”

コロナウィルスは、なぜ東京2020大会が中止されるべきなのかを暴露する

東京オリンピックはとっくに安全ではなかった。いまやもっとそうだ。

Dave Zirin(The Nation),Jules Boykoff

2020年のオリンピック推進の看板で飾られた東京都庁近くの横断歩道を渡る人々。 (Jae C. Hong / AP)

アニメは予言になれるだろうか?1988年の日本の古典アニメ『Akira』は、東京が2020年のオリンピック開催地になることを予測した。あるシーンには「オリンピックまであと147日」と書いた看板が出ていた。その真下には誰かが「中止だ中止」と殴り書きした落書き。今東京夏季オリンピックまでだいたい140日ある。大会の中止、あるいは延期は現実の可能性となっている。新型コロナウィルス・COVID-19が出現したからだ。

スタンフォード大学教授イヴォンヌ・マルドナード言ったように、オリンピックで『大勢の人間を集める。それから集めた人たちを世界中に送り返す。これは感染を広げる完璧な方法だ。』この感染症専門家はさらにこう言っている。『本気で病気を広げたいなら、これこそが取るべき方法だ。』

少なくともIOCの委員の一人、カナダのディック・パウンドは同感のようだ。AP通信のインタビューで彼は、IOCはおそらく5月末までには東京大会を開催で進めるかどうか決断する必要があるだろうと言って、警報を鳴らした。『そのころにはこう問わなくてはならなくなるだろう。われわれが自信を持って東京に行けるだけの十分なコントロール下にあるだろうか、とね。』日本のオリンピック担当大臣橋本聖子は今週、大会延期というアイデアを提示したが、これは今や可能性としてオープンになったものの、非現実的でもある。延期すると、米国の大学、NFLの秋のフットボールの日程に食い込んでしまうからだ。NBCはオリンピックに数十億ドル投じているー2011年、2020年までの放映権に44億ドル、それから2032年までのオリンピックに77億ドルというべらぼうな額を払っているー以上、大会は開催されるべきだと言い張るのは間違いない。世界的パンデミックにならない限りは。

しかし実際、大会はコロナウィルス流行のとっくの前に中止されるべきだったのだ。特に、オリンピック主催者と日本政府内の協力者たちに人々の健康への配慮があったなら。東京大会主催者たちはオリンピックを、2011年の地震、津波、福島第一原発のメルトダウンという3重災害からの”復興モニュメント“でいっぱいの『復興オリンピック』と名づけた。彼らは、”被災地”がオリンピック選手を支援し、それを世界が”応援する”という称賛の輪を描いた、おかしな図までつくりあげた(下記の画像)。お返しに”世界”は感謝を表明し、それを被災地を”応援する”。(この画は今日までウェブサイトに載っていた。)

これはもちろん、純然たるPR用のデタラメだ。筆者たちは2019年7月に福島を訪れ、福島はオリンピックの道具に使われたのだ怒る地元の方々と話をした。放射能まみれの土を詰めたプラスチックの大袋でできた”ブラック・ピラミッド”を見た。オリンピックに注ぎ込まれた大金ー政府の監査によると260億ドルほどだ、元は東京オリンピックは73億でできるとしていたのにーを使えたに違いない打ち捨てられた家や商業施設を見た。

オリンピックのドンたちは福島の住民たちに対して、物質的な支援ではなく、単なるシンボル的なものを提供しただけだ。来月聖火リレーが福島を出発地にして始まる。グリーンピースがこのほど聖火リレーのルート沿いに放射能ホットスポットがいくつかあることを暴いたという事実にもかかわらずだ。野球とソフトボールの試合も福島で行なわれる。つまり『復興五輪』という呼び名が残酷なジョークになっているのだ。関西大学のスポーツ・ジェンダー・セクシャリティ研究教授井谷聡子が筆者たちに語ったように『このオリンピックは文字通り、資金、労働者、クレーンを一番必要な地域から奪っている』。

独裁志向のある政治家たちはコロナウィルスで得をしたかもしれない。公衆衛生上の危機は無制限の独裁へのレシピになりうるからだ。日本の首相安倍晋三は長いこと、ブルームバーグニュースの表現を使うと”不穏な独裁的パターン“を示してきた。安倍晋三は頑として、東京オリンピックを延期する必要はないとしているが、ここには”うそつき総理”の力学が働いている。何しろこの首相は、東京がオリンピック招致を目指していた2013年、福島のことでピリピリしていた投票権のあるIOCの委員たちに、状況は『アンダーコントロール』だと言った男だ。全然そうではなかったというのに。安倍や他の政治家が「コロナウィルスはオリンピックに影響しない」と言うのを聞くと、多くの人の耳には、これまであの連中が吐いてきた空虚な約束のこだまが聞こえるのだ。

たとえ中止になったとしても、東京オリンピックはすでに損害を及ぼしたということを知っておかねばならない。オリンピック施設建設のために毎日人々が住み処を追われている。これは元に戻せない。福島ではインフラ整備のために人々が働いた。彼らはすでに被曝している。

開催地を以前開催した都市に変更するのはどうか。ロンドン市長候補の一人ショーン・ベイリーは、ロンドンでの開催を提案した。しかし、2012年に使われた競技会場の多くはもうなくなっており、選手村として作られたアパートにはもう住人がいる。2016年大会の開催地リオは明らかにだめだ。競技会場は多少ないしひどくボロボロで、国は、五輪憲章に謳われる気高い原則には全く一致するところのない右翼ヘイト風景の泥沼に沈んでいる。そしてリオの住民(カリオカ)は、自分たちの街にオリンピックが戻ってくることには関心がない。IOCが五輪後リオに残された費用負担の精算に力を貸さなかったことで、リオはIOCに苦い思いを抱いている。

オリンピックが中止された場合の日本経済へのマイナスについては、害はもう発生していると言えよう。立ち退きに加え、オリンピックで、選手村を建設したデベロッパーはとんでもない安値で土地を手に入れたが、ウィルスも中止もこれを変えられない。壁に書かれている。日本のためにオリンピックを中止する理由はやまほどある、と。コロナウィルスはそれを暴いただけだ。

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著者について

Dave Zirin, The Nationのスポーツエディター。

Jules Boykoff、Pacific University in Oregonの政治学の教授、オリンピック競技に関する4冊の本の著者。四月に、ロスと東京のオリンピックを取り上げたNOlympians:Inside the Fight Against Capitalist Mega-Sportsを出版予定。

出典:The Coronavirus Exposes Why the Tokyo 2020 Olympics Should Be Canceled

https://www.thenation.com/article/society/coronavirus-tokyo-2020-olympics/

本文のリンク先は全て英語になります。

(飜訳:おことわリンクによる本文のみの仮訳です)